金平先生の日記 会計士の独立編

会計士、税理士の独立情報

税理士として独立するなら会計、税務以外に理解しておかないといけないこと

 

 

中小企業にとって税理士は最も身近な専門家

 

一般的によくいわれることですが、中小企業にとって税理士は最も身近な専門家である、というのは、私の感覚からしても事実です。

 

士業は税理士のみならず、多くの士業が社会に広く貢献していますが、士業の中でも、中小企業が、最も継続的に依頼している士業は、税理士だと思います。

 

中小企業の会計税務をしていると、そのクライアントの出納の全てを確認することができますが、自分が関与しているから当然ですが、税理士報酬の支払いがあっても、その他の士業への支払いがないクライアントというのは多いです。

 

中小企業をクライアントする士業の代表例としては、社労士や弁護士があげられます。

 

社労士を利用しているクライアントもいますが、利用している割合はそれほど高くありませんし、給与計算や労務管理が完璧かどうかはわかりませんが、それらを社労士に頼らず、自社単独でされているクライアントが多数です。

 

中には、給与計算や労務管理等、すべてについて社労士に依頼している会社もありますが、非常に稀で、中には、スポット相談のみや、スポットで社保の更新だけお願いするというクライアントも多く、税理士のように継続的に依頼するケースは稀です。

 

弁護士は、更に稀で、弁護士と顧問契約をしている中小企業はほとんどありません。

 

弁護士と顧問契約をしている中小企業は、中小企業の中でも比較的規模の大きな会社が多いから、不動産業等、法律的問題が生じやすい業種が多いと感じます。

 

このような環境にあるクライアントは、幅広く税理士に質問してくる可能性が高いのは当然なのかもしれません。

 

我々も、税務、会計、財務等以外の分野においては、有資格者でない限り、専門外であり、他士業の独占業務に抵触する可能性もありますから、そのような業務を請け負うことはできませんし、してはいけませんが、税務業務、会計業務にも影響することも多いので、必要な分野については、最低限、基本的なことは理解しておく必要があります。

 

 

 

社会保険や給与計算

 

これらに関しては、質問されることが多いです。

 

もちろん、社会保険の手続きについては、社労士の独占業務ですので、できませんし、やりませんが、どのようなものかを理解しておくことは大事です。

 

基本的な社会保険の種類はどのようなものか、それぞれの社会保険は給与計算にどのように影響を与え、また、会計にもどのように影響を与えるのか、それぞれの社会保険の更新等の手続きはいつあるのか、どのような人がそれぞれの社会保険の対象になるのか、といったことは理解しておかなければなりません。

 

給与計算についても、社会保険の計算のみならず、我々、税理士の分野でもある、源泉所得税にも影響がありますので、他人事とはいえません。

 

社会保険の計算の対象になるものであっても、源泉所得税の計算の対象にならないものもあります。

 

社会保険料ではなく、同じ税金なのに、源泉所得税は、変動する可能性がありますが、住民税は、初月を除き、以後、変動しませんが、変動するタイミングもあります。

 

ある社会保険は、役員の場合や労働時間が短い従業員は、加入の対象にならなかったり、同じパートアルバイドの中でも、労働時間の長短によって、加入対象になるか否か分かれる場合もあります。

 

その他、残業の割増や、残業の対象になる労働時間の考え方や、休日数についても、質問されることもあります。

 

知人の社労士に、すぐに振るのもいいかもしれませんが、そんなこともしらないのか、冷たい、と思われるリスクもありますし、我々自身の会計や税務にも適切に処理を反映させるためにも、基本は理解しておく必要があると私は思います。

 

 

相続税贈与税と相続関連の民法

 

相続関連の知識や経験の重要性は高まっています。

 

ご承知の方も多いと思いますが、数年前に、相続税法が改正され、相続税の計算上の基礎控除が下がったことから、相続税が課税される対象が以前に比べて、かなり広がっています。

 

相続税法の改正前は、その基礎控除の高さより、納税者になる可能性がある対象が狭かったことから、中小企業のクライアントであっても、関係しない人も多かったと思われますが、改正後においては、少し裕福なクライアントの家族であれば、当然のように該当してきますし、その他、公務員や大企業家系においても、その多くが、申告に関係する時代になったと思います。

 

私も、知人の関連士業の方から、相続税の申告をお願いされ、紹介されることが、年に数件あり、対応しています。

 

クライアントのみならず、他士業の皆さんも、税理士であれば、当然、相続税を知っている、その申告をしてくれる、と思っている方が多く、普通に、紹介してくださるケースが多いです。

 

しかし、相続税はできないから、と断れば、その紹介者からは、相続税以外の紹介も減るか、なくなると思います。

 

紹介された時にうけるためだけではなく、中小企業の会計、税務のクライアントに関与していて、役員親族が高齢化されれば、当然のように、相続税に関する相談を受けることになりますし、相続が起きなくても、相続税対策として、株の贈与といった話題も生じますが、非上場株式や土地の路線価評価といった財産評価がわかりません、とは、クライアントにはいえないと思います。

 

高齢化も進んでおり、今後、小さな相続税の申告の数も、安定的に推移することが考えらえます。

 

税理士として独立するのであれば、相続税贈与税、相続に関する民法の理解は、欠かせません。

 

私は、監査法人時代に、自己投資の一環として、税理士試験の相続税講座を自費で購入して結構勉強しました。

 

独立後でもいいので、相続税等については、ある程度、真剣に勉強しておいた方がいいと思います。