税理士事務所への転職の注意点
- 大規模事務所を除き、税理士事務所は中小企業
- 有給の完全消化は難しい
- 勤務時間は長くなり、年間休日も減ることもある
- オーナーには気に入られても、同僚からは気に入られないこともある
- 待遇に関するルールは監査法人より曖昧
- まとめ
大規模事務所を除き、税理士事務所は中小企業
大規模事務所には勤務したことがないので、その実態はわかりませんが、一般的な税理士事務所は、中小企業です。
大手監査法人は、一般的には、大企業に属する規模、組織運営がなされているため、色々な面で、監査法人で当然だったことが、税理士事務所では当然ではなかったことを感じることが多いでしょう。
有給の完全消化は難しい
監査法人では、そういう文化が定着しているため、有給を完全消化している人や、半分以上消化している人が多いでしょう。
中小企業においては、そのような文化が定着していることは少なく、税理士事務所も例外ではありません。
転職して短期間で辞めるつもりがあり、同僚からの視線も気にならないメンタルの強さがあれば、消化することはできるかもしれませんが、税理士事務所への転職後、そこで評価されることを望むのであれば、有給を自由に消化できる事務所は、おそらく限られるのではないかと思います。
法的な権利ではあるものの、有給の自由な消化を経営者は少数派であることが影響していると思います。
勤務時間は長くなり、年間休日も減ることもある
現在の労働法規制上、残業代の負担や、休日日数の算定に関連して、決められているのは、通常の週間労働時間が40時間とされており、結果、週休2日の場合は、毎日の労働時間を8時間とする場合が多く、中小企業の多くは、そのようになっているケースが多く、税理士事務所の多くもこれに該当するケースが多いです。
監査法人では、業務の特殊性や、従来化の慣習、さらには、クライアントへの請求の基礎に、タイムチャージが根付いている等の理由から、週休2日で、一日当たりの労働時間を7時間台で設定されているところが多いと思います。
監査法人で、週5日勤務で、7時間労働の場合で、残業がない場合は、一週間で35時間労働ですが、転職して週5日勤務で、8時間労働の場合で、残業がない場合は、一週間で40時間労働になり、労働時間が一週間で5時間、一か月で20時間、一年間で240時間、増加することになります。
7時間労働が習慣化している人にとって、8時間労働は案外長く感じることもありますし、その分、時給が下がることを意味します。
これに関連して、完全な週休2日制ではない税理士事務所も少なくありませんし、時期によっては、祝日も勤務日になっている事務所もあります。
オーナーには気に入られても、同僚からは気に入られないこともある
税理士事務所への転職ができるということは、採用を決めた代表者は、何らかの意図があるわけで、その期待に応えることができれば、気に入られることになります。
実際に一緒に働くことになる同僚からは、気に入られないことも実際にあるようです。
オーナーがいいと思ってやっていることだからいいじゃないかと思うのですが、人の妬みは、怖いです。
税理士事務所には、税理士になりたくても試験になかなか受からない人もいれば、試験を諦めた人もいます。
無資格者の年収というのも、人によっては、それほど多くないケースもありますし、実務ができ、事務所運営に大きな貢献をしているにもかかわらず、パート契約ということから、やはり、年収が低い人もいらっしゃいます。
そんな環境に、会計士という上位資格者が入ってきて、オーナーが嬉しそうにしていることを快く思わない人が出てくるのは、当然かもしれません。
監査法人は、原則、有資格者のみが就職できることから、そのような類の妬みはありませんので、そのような経験はストレスになるでしょう。
待遇に関するルールは監査法人より曖昧
監査法人でのプロモーションは、現実問題として、政治力や好き嫌いの影響も強く、納得できないことも少なくないかもしれませんが、評価基準やルールがあることだけ、まだましです。
小さな税理士事務所には、待遇に関するルールや規定が曖昧か、それ自体が存在しない場合も多いと思います。
待遇は、昇給はもちろん、賞与の決定や、退職金も含みます。
監査法人の職員の退職金は少ないことで有名ですが、中小企業の場合、もっと少ないことは当たり前で、最悪の場合、退職金がないこともありますし、賞与の決め方も、経営者の一存というケースもあるでしょう。
まとめ
監査法人への不満が強いかもしれませんが、監査法人は、超大手企業で待遇のいい企業よりは劣る部分が多い一方で、世間的な中小企業に比べると、非常に緩い業界です。
冷静に情報を得て、評価し、判断することが大事です。