監査と税務の大きな違い
第三者的に業務をするのか、作成者側で業務をするのか
会計士にこれを説明する必要はないかもしれませんが、税務の場合の多くの場面では、クライアント側というべきか、作成者側で業務を行うことが多いです。
税務であっても、監査同様、第三者的にクライアントに意見したり、質問したり、助言することもありますが、業務の特性上、作成者側で業務を行うことの方が多いです。
重要性の概念の有無
こちらで税務は細かいと説明しました。
kanehira-sensei.hatenablog.com
監査においても、重要性がある部分を監査しないというミスは考えられますが、それは例外的で、重要性で、結果的に、許容されることは少なくありません。
税務においては、業務内容に関する契約内容にもよりますが、依頼された業務内容においては、重要性という概念はなく、クライアントも、ミスなく、完全に業務を遂行してくれることを当然のように期待しています。
税務におけるミスの多くは、重要性の概念がありませんので、その責任が我々側にあれば、賠償責任を負います。
重要性の有無は、賠償責任のリスクに影響を与え、税務は、監査とは違うプレッシャーを感じることがあります。
文書化のルールの有無
監査は、監査基準、そして、監査法人のルールに従い、文書化のルールがしっかりしていますが、税務には、そのようなルールは公式にはありません。
税務も、事務所によっては、業務がマニュアル化されている部分があり、そのような場合には、監査同様に、文書化を求められるケースがあり得ますし、税務においても、添付書面制度という申告書に意見書を添付するという公式な制度があるため、その場合には、一定の文書化が必要と考えられますが、多くの場合は、文書化というルールは曖昧です。
文書化することは、手間を要する反面、自身の説明責任を果たす上では、税務においても、一定の効果があるでしょうから、有益でもありますが、その程度は、税理士に委ねられているため、重要性のない部分やリスクが低い部分は省略できるという点では、監査とは違う部分だと思います。
クライアントの規模や応答者
一般的な税理士事務所のクライアントの規模は、中小企業以下が、圧倒的に多く、税理士事務所に対する期待は大きいです。
会計、税務に関しては、税理士事務所にお任せは当たり前で、その他、本来の税理士業務ではない部分についても、相談されることもあります。
他仕業の独占業務に関することはできませんが、そうではない範囲では、色々な質問が飛んでくることが多いです。
監査のクライアントの場合は、特に、昨今の監査は、事前に相談しても、監査法人側が答えてくれないというケースも増えていて、監査法人側に対する期待も低い場合も増えているでしょうし、応答者である経理部の方たちは、高学歴で、優秀な方が多いので、問題があっても、自己解決するケースが多いと思います。
クライアントが悪いわけではありませんが、会計や税務は、どうしても難しい言葉を使う仕事ですので、相手によっては、丁寧な説明が必要な場合もあれば、正しく理解してもらえないことも多く、そういう観点から、税務は、監査とは違った苦労を感じることはあると思います。