金平先生の日記 会計士の独立編

会計士、税理士の独立情報

将来独立したい会計士が監査法人時代に経験したほうがいい業種

 

 

私が監査法人時代に経験した業種

 

それほど多くはありませんが、以下の業種のクライアントの監査業務を経験させてもらいました。

 

・製造業

・電力会社

・建設業

・IT業

・小売業

・学校法人

・銀行業

第三セクター

運送業

 

私は、大手監査法人に入ったものの、実際にはいったのは地方事務所でしたが、経済規模の小さな都道府県の一地方事務所としては、クライアントによって濃淡はありましたが、本当に多様な業種に関与さえてもらい、今となってはありがたいの一言でした。

 

 

独立した今、経験して一番よかったと思える業種

 

結論からいえば、銀行です。

 

銀行の監査というのは、正直、個人的には、慣れてしまえば、非常に面白くない監査業務でしたが、銀行の監査業務をある程度実施することができるようになれば、当然、得られる知識、経験があります。

 

銀行の監査の主な論点は、貸出金の貸倒引当金の評価であって、それは、当時、私が在籍していたころの金融検査マニュアル、会計基準によれば、貸出先の評価が最も重要でした。

 

具体的には、正常先、要注意先、破綻懸念先、実質破綻先、のいずれに区分し、その区分が妥当なのか、について、金融検査マニュアルに従い監査するのが、当時の銀行監査の主要業務でした。

 

この金融検査マニュアルに従って、貸出先を適切に区分、評価しているのか、という監査には、当然、金融検査マニュアルの理解が必要であって、それを理解し、実際の監査を通じて、銀行の審査部と議論する中で、銀行がどのような観点から、融資、つまり、貸出金を評価し、貸出を評価、判断しているのかを知ることは、税理士事務所としての独立後においても、ある程度、いい知識、経験になります。

 

独立後の税務業務におけるクライアントである中小企業、個人事業においては、資金繰りや、円滑な資金調達は、大切な課題であり、税務署と同程度に、借入を受ける銀行のポジションは、クライアントにとっては大きな存在であり、資金調達、ファイナンスに関して、助言できる会計士、税理士というポジションは、案外、重宝されます。

 

実際、銀行の担当者も、貸出先の税理士事務所が、銀行の事情を理解しているか、していないか、というのは、想像にするに、案外、大きな問題だと思います。

 

銀行の事情をわかってもいない税理士が、偉そうに、クライアントと共に、よくわからない理屈を主張されても、銀行としては、面倒なだけで、クライアントにとっては、有害でもあります。

 

銀行の監査をしていたときにも、特に、破綻懸念先以下の経営が苦しい先の資料に添付されている経営改善計画において、事情を理解していない税理士事務所が作成したであろう計画というのは、監査する私にとっても、銀行にとっても、あまり価値のある情報ではなかったものが多かったです。

 

銀行からの信頼、ひいては、それがクライアントからの信頼を得るためにも、銀行の監査を通じて、銀行の融資のロジックや事情を理解していることは、一定の価値があります。

 

 

銀行監査の経験を得るために必要なこと

 

首都圏にある監査法人おいては、銀行の監査は、専門部署化されているので、金融部に入った方が、確実に、銀行監査を経験できるでしょう。

 

それ以外の事務所においては、情報収集が大事になります。

 

クライアントに銀行はあるか、担当できる可能性があるのか、確認することが大事です。

 

私が在籍していた監査法人では、当時は、地方事務所が、銀行監査を担当していましたが、今では、一部の銀行が、東京事務所の金融部に担当が移ったようで、地方事務所では、銀行監査は担当できなくなったようです。

 

しかし、本当の銀行ではなくても、例えば、信用金庫のような中身は銀行と同じ業種であっても、監査の内容は同じであって、銀行がなくても、信用金庫、信用組合が担当できる可能性があれば、全く問題ありません。

 

 

銀行以外の業種の監査は幅広ければいいが、それがマストではない

 

監査法人のクライアントは、小さな税理士事務所のクリアアントと比較して、規模も、業務内容も、全く異なります。

 

独立後のクライアントの業種も規模も多種多様で、独立後のクライアントの業種のすべてを監査法人で経験するのは、極めて困難です。

 

良くも悪くも、規模が小さな税務のクライアントの会計や税務に関しては、経験がなかったとしても、会計士に合格した知能があれば、問題なく対応できますので、経験業種の幅は気にする必要はありません。

 

銀行監査を経験できなかったとしても、金融検査マニュアルを理解していれば、銀行のロジックは理解できます。

 

しかし、今、金融検査マニュアルというものは、存在し、また、私が監査していた当時と同様に機能しているのでしょうか。